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偉人の功績を陰で支えた脇役たちの物語🎬(実話)

時を遡ること約200年

徳川11代将軍 徳川家斉の時代…幕府はロシアからの国防のために東北から北海道の海岸線を正確に知る必要があり、測量の為の地図作りプロジェクトを立ち上げました。

私たちが日本史で中学生の頃に学ぶのは、地図を作った人=「伊能忠敬」ですね。

たまに井伊直弼と間違える人がいますが、こちらは開国に前向きだった幕府の老中で日米修好通商条約に調印した偉人です。

《新精確日本・蝦夷図》

伊能が地図を作るまでは、外国人が作った地図を参考にしていたみたいなのですが、1658年にオランダ人が作ったこの地図だと、現代の私たちが知っている日本の形には少し遠い印象がありますね。(※上の地図を参照)

人工衛星が無い時代、地図を作るのはとても難しかったみたいです。


世界の経済を席巻するGAFAの一つ、Googleは、元を辿ると地図の会社です。

地図にネット情報が紐づけられることでGoogleの社会的価値が上がり、世界的な企業に上り詰めました。

人類史上、地図を制するということは、世界を制する力になるという事なのだと言う先生もいらっしゃいます。


今回紹介したいのは、その伊能忠敬が作った最初の日本地図🗾大日本沿海輿地全図

これを題材にした映画です。

[映画:大河への道]

2022年5月20日公開作品

千葉県の香取市で、町の観光を興していくために、伊能忠敬の偉業をアピールして大河ドラマにしよう!というプロジェクトが立ち上がり、それを勧めていくと…

実は、伊能忠敬は地図の完成の2年とちょっと前に病で亡くなっていたことが分かります。

伊能の死を隠ぺいして、地図を何とか完成させた伊能の弟子たちと、伊能に測量を教えた高橋至時(ヨシトキ)の努力と苦悩を、現代から江戸時代に舞台を移し、役者は現代と江戸とで一人二役で演じている作品です。


原作は、立川志の輔の落語

私はこちらの落語を聴いたり、本を読んだりしていないのですが、

俳優の中井貴一さんがこの落語に出逢って感動し、自ら企画して映画化させた意欲的な作品なのだそうです。


教科書では数行の文字で表されてしまいますが、実際の測量はとても地味で大変な作業の連続です。

腰を固定して「同じ歩幅」をキープしながら、観測する海岸線の角度と長さを計測していきます。

高低差の角度も測り、三角関数で平面にした時の長さに直していきます。

計測だけで何年もかかり、志し半ばで他界した伊能はこのゆっくりと進んで行く測量をしながら、合計で3万5000キロは歩いたそうです。

舗装された道路でも重労働な計測歩行。

映像になることで、その地道な努力の大変さを知ることが出来ます。


しかも、この計測には莫大な費用がかかるため、伊能隊は勘定所に上手に隠蔽しながら、一日でも早く地図を完成させる必要がありました。

伊能がいる間にほぼ全体的な測量は済んでいたみたいですが、細かな部分の図り直しと、最後に地図を紙に起こしていく作業だけでも2年以上もかかったので、この映画ではその部分をドラマとして描いています。

隠ぺいが下手な形でバレた時には、伊能隊チームメンバーは打ち首の死罪になるリスクがあります。

それでも、伊能先生の意志を継いで地図を完成させたかった脇役たちにスポットを当てた所に、大河への道の魅力があります。

肝心な伊能忠敬を主役にしたプロジェクトX的な感じではなく、歴史の教科書に載らなかった影の部分にスポットを当てた作品なので、興行的に大きな成功にはなり難かったと思います。

ちょっと地味なのは否めません(^^;)

でも、有名で実力もある役者さんたちが出ていて、中井貴一さんの本作への思いの強さを感じました。

作中の江戸パートは、コメディ要素も盛り込まれていて、歴史が苦手な人でも見やすいような雰囲気になっています。

NHKの大河ドラマのような重厚な演出ではなく、ポップでコミカルな描写をしているので気軽に楽しめると思います。


最終的に仕上がった日本地図=伊能図は、およそ 60m×40mくらいの大きなものだと知っていましたか???

中規模の体育館の床にびっしりとハマるくらいの大きな地図です。

CGで再現された伊能図のシーンは、胸が熱くなりました☺


3年くらい前から自分の中の歴史ブームが再燃し、特に伊能忠敬の話は好きだったので、この作品を年始の1本目としてユーネクストで鑑賞しました。

ヨーロッパの大国が植民地支配をアジアに拡げていた時に、この伊能図の完成度の高さを知って、英国が日本の支配を見送ったという逸話もあります。

伊能忠敬は単なる地図を作った人ではなく、地図で日本を救った人物なのかもしれませんし、その偉人の功績はその陰で支え続けてきた人達の血と汗の結晶でもあると思うので、このブログを読んで興味を持って頂けたら、是非ご覧になってください。


因みに、伊能忠敬の正式な子孫の方が、数年前に日テレのナカイの窓に出演していました。

女性の方なのですが、面長で伊能の自画像によく似ていて、その方はなんとゴルフのプロ専属のキャディーをされているようで、特技はグリーンまでの正確な距離の計測だそうです!

今も伊能のDNAがそういった所に受け継がれているのですね(笑)


ハリウッドのボイコットの影響を受けてしまっている2024年は、邦画をたくさん観ていきたいと思います。

お勧めがあったら教えてくださいね。

HAYASE
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